YMCA/YWCA 世界合同祈祷週 11/9〜15
「私が来たのは、羊が命を受けるため、しかも豊かに受けるためである」
(ヨハネによる福音書10章10節)
|
エイズで亡くなった方を思い起こすメモリアルキルト(メモリアル・キルト・ジャパン提供) |
エイズは今
国連人口基金は、10月8日、世界の人口が昨年より約1億人増加して、63億人に達したとする2003年世界人口白書を発表した。白書はまた、世界的な貧困をなくしたり、エイズの流行を阻止するには、思春期の若者に、性と生殖について学ぶ機会を与えることが欠かせないと若者対策の重要性を訴えている。10代の思春期人口は12億人を超えているが、若者の4人に1人は、極度の貧困状況だと言われている。
また、世界のエイズの現状も目を覆うばかりだ。2003年末現在、4200万人がHIVに感染しており、毎年、新規に500万人が感染し、悲しいことに300万人の尊い命が奪われている。一日8000人以上がエイズによって亡くなっている現状を皆さんはどう思われるだろうか。また、エイズによる累計死亡者も2780万人に達していると聞けば更に驚かれる方も多いだろう。
わが国は、先進国の中で唯一エイズ患者が増加している国だ。しかし、ほとんどの国民は無関心だ。大人も子どもも無関心だ。どうか今、エイズをしっかり見つめて欲しい。
神戸では、今年11月27日から第17回日本エイズ学会学術集会が開催され、無料で参加できる関連行事も多彩だ。ぜひ、この機会に足を運んで欲しい。そして、不幸にもエイズで失われた尊い命の声に耳を傾けて欲しい。わが国でも、声なき人の声を聞くことのできるYMCAの皆さんに、エイズに対するご理解とご支援を心よりお願いしたい。
性感染症予防啓発ボランティア BASE KOBE 代表 繁内 幸治
エイズについてどのくらい知ってる?
Questions
- HIV(エイズの原因となるウイルス)は感染力が強く、それに感染するとすぐに体が弱り普通の生活が出来なくなる?
(○ or ×)
- HIVに感染する人は、男性同性愛者、外国人、性産業従事者、不特定多数の人とセックスをする人だけ?
(○ or ×)
母親が感染者であった場合、生まれてくる子どもには必ず感染する?
(○ or ×)
- HIV感染告知を受けたら仕事や学校をやめなければならず、セックスもできない? (○ or ×)
Answers
- × エイズは1つの病気ではなく、カリニ肺炎やカポジ肉腫などさまざまな病気が含まれます。HIVに感染するとすぐにエイズの症状とされるさまざまな病気になるわけではありません。HIVに感染すると平均約10年間の潜伏期間があり、その間は症状があらわれないので健康なときとまったく同じように生活ができます。ただ、その潜伏期間中にウイルスは体内から消えてなくなるのではなく、免疫機構の中心をになっている細胞を少しずつ破壊し続けます。それにともなって病原体に対する体の抵抗力は次第に弱まり、カリニ肺炎などのエイズの症状が出始めます。
- × HIVウイルスは血液・体液の交わりによって感染します。最も感染しやすいのは、セックスのときに正しくコンドームを使わない、薬物の回し打ち、医療者の針刺し事故で、それをすれば誰でも感染する可能性があります。また輸血により感染する可能性もゼロではありません。尚、ピルは避妊のためには有効ですが、ピルでHIVウイルスの感染を予防することはできません。
- × HIVに感染している母親が自然分娩で出産する場合、母子感染率は約30%と言われています。また出産時に帝王切開をすることと、妊娠後期に抗HIV薬を飲むことで、その確率をほぼ0%にできると言われています。
- × 仕事や学校を辞める必要はありません。またHIVに感染していてもコンドームを正しく使えば、相手と自分がHIVやその他の性感染症に感染する可能性を抑えてセックスをすることができます。人がさまざまな病気と付き合いながら生きるように、感染者・患者はHIVとともに生きている人々です。生きるための仕事や勉強や性生活を一方的に奪うことは、感染者や患者を社会的な「死」に追いやってしまうことかもしれません。
HIVウイルスを持っている人もそうでない人も、皆が自分らしく暮らすことのできる社会を共に創っていくこと。この目的に向かって世界中のYMCAがともに「人」と「問題」に向き合うこと、今年の祈祷週はそのきっかけになるでしょう。(葉名利栄子/神戸YMCA国際ボランティア) |
貧困とエイズ
第20回タイワークキャンプで訪ねたバーンメーロイライ村で、多くの「エイズ孤児」に出会いました。両親はエイズで亡くなり、年老いた祖父母と暮らす子どもたちの20〜30%が、母子感染により生まれながらにエイズウィルス(HIV)のキャリアです。
東南アジアでは、エイズは貧困と強く結びついています。貧困ゆえに都会へ出て働く父親がそこでHIVに感染し、戻ってきて母親にも感染、約10年後エイズを発症し、相次いで幼い子どもを残して亡くなるというパターンです。貧困ゆえに教育が十分でない、ということも
エイズの蔓延を許す要因になっています。
チェンマイYMCAでは、貧困家庭のエイズ孤児支援プログラムを スタートさせています。皆さんの国際協力募金は、エイズ孤児 支援プログラムのためにも生かされます。
|